最近当園のサイたちがいつになくいろいろな表情を見せていると思う。
私が就職して初めて、いや、物心ついてから初めて怖いと感じた動物はサイ。
ヒトはぜったい動物に勝てないなと感じさせれました。
そして今一番その魅力に魅せられているのもサイかもしれません。
そんなサイの魅力と私のエピソードをお話します。
私は今まで、サイに特別な感情を抱いたことはありませんでした。
日常的に見るものでもなく、そこら中の動物園に当たり前にいるような動物でもない。
いてもきっと、立ち止まることなくなんとなく見過ごしていたと思う。
小さい頃はキリンが大好きで、小学生になってイルカの力に魅せられ、
ウサギを飼い始めてからはウサギが特別で、とある時からアジアゾウの
虜になってタイまで追いかけて。。
サイという動物を改めて意識することになったのはアフリカに行ったときでした。
BIG5と呼ばれるその希少な動物は、国立公園を数日走り回ったくらいでは一度も
姿を現すことはなく、付き添いの人に、お前にどうしてもアフリカのサイを見せたい。
と言われ向かったサファリパークのような公園でようやく出会えた子連れのサイ
たちにはなんとも不思議な気持ちにさせられました。
全くなんにも意識していなかった相手から不意打ちをくらって恋が芽生える感じに。。
そして偶然にもサイがいる動物園に就職することになって今また改めてサイに
魅せられている私。
皮膚の厚みが3cmもあるサイ。
なぜか角が前後に2本はえているサイ。
円錐型の耳をいつもプルプル動かしているサイ。
ずんぐり短足だけど走ったら結構速いサイ。ヒトは追いつけません。
大型の動物は大抵立ったまま寝て、飼育下でも日中はほとんど立っているのに、
一日中ゴロンと寝そべってゆったりしているサイ。
そしてなんと腎臓は見かけの分葉腎!! (専門的でごめんなサイ)
当園のメンバーはこれから夫婦になろうと頑張っているアフとリカ。
国内でトップ3には入るであろう長寿のプー。
サイに触りなサイ!のイベントでも最も協力的なプーおばあちゃんは
昔からよく職員さんたちと遊んでいたとか。。
若手のアフ、リカは最近難しいお年頃。
今まではいつも隣に寄り添って一緒にお昼寝して、お尻を並べてご機嫌にご飯を
ほおばっていたはずなのに、、いつしか大人になったのね。
アフ君はリカちゃんを女として見始め、熱烈アピール!と思ったら、
リカちゃん拒絶!!
あっちいって、と追い払う始末。
それからアフ君ちょっと萎縮。。リカちゃんが怖くてそばに寄れないんです。
夜も喧嘩でよく眠れない様子で朝はまだ眠たいアフ君。
仕事の時間になって展示場に"出勤"していってもリカちゃんの視線に萎縮して
お部屋に戻ろうとしてみたり。
飼育員さんがリカちゃんを呼んで気をそらしてアフ君が安心して"出勤"できるよう配慮するんです。
これはただ単に当園のサイに対する"親バカ"でしかないかもしれません。
でも、サイには沢山魅力があることは事実です。
そんなサイは今南アフリカで密猟がエスカレートし、絶滅の危機に瀕しています。
サイの角は角質で、皮膚や毛と同じ成分でできています。
漢方に入れたりと高く売れるそうですが医学的根拠はまったくなんにもありません。
サイの角を飲んでも体にはなんにも効きません。ただの迷信です。
だからこんな魅力的な動物を絶滅させないためにもみんなで正しい知識をもって
サイを愛してあげましょう。
当園にサイを見に来て癒されましょう。
えんど。
2014年11月30日
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